チワワで気をつけたい病気new
病気に関するご質問には、基本的なことをお答えしております。何か症状が出ていて気になる、または詳しく知りたいという場合には動物病院での受診をお勧めします。
チワワに関する、ちょっとおもしろい話を聞かせてください。
以下のようなものはいかがでしょう。
アメリカのテキサス州エル・パソに本拠地をおくマイナーリーグの野球チーム『エル・パソ・チワワズ』は、マスコットキャラクターがチーム名そのままにチワワであり、“犬連れで野球観戦を”という愛犬家には嬉しい企画の時には、ユニフォームに大きなチワワの顔写真を使用していた。(参考:https://www.youtube.com/watch?v=rXK4CFHcs3s)
一般的に知られるようになる前、チワワは「テキサス・ドッグ」「アリゾナ・ドッグ」「チワワ・ドッグ」と呼ばれていたとされる。
アメリカにおいて、Cinco De Mayo(シンコ・デ・マヨ/メキシコの祝日、5月5日)のイベントの時には、コンテストやパレードの他、シェルターにいるチワワには無料で不妊去勢手術を提供するなど、チワワは特別扱いになることもある模様。(参考:https://golakehavasu.com/event/cinco-de-mayo-chihuahua-races-social-event/)
アリゾナでは、群れになった“野生”(野犬)状態のチワワたちが見られることもあるという話もある。
Google Trendによると、アメリカ人がもっとも綴りを間違えやすい地名の中に、「Chihuahua」も入っている。(参考:https://twitter.com/GoogleTrends/status/869624196921303040)
いずれも確認はとっておりませんので、興味がある場合はご自身でお調べください。
ワクチンの必要性はわかるのですが、チワワは小さい分、副反応も気になっています。
人であっても、犬であっても、ワクチンによる副反応はゼロとは言えず、心配にもなりますね。American Veterinary Medical Association(AVMA)のホームページにあるワクチン接種後の副反応に関する説明を見てみると、主に以下のような症状が見られる場合もあるとのことです。
軽度の服反応:
・ワクチンを接種した箇所の不快感や局所的な腫れ。
・微熱。
・食欲や元気の低下。
・鼻腔内ワクチンの場合、2~5日後にくしゃみ、軽い咳、鼻水などが見られる。
深刻な状態で、すぐに動物病院へ連れて行く必要がある副反応:
・持続的な嘔吐や下痢。
・蕁麻疹。
・口吻、顔、目の周り、首などの腫れ。
・重度の咳や呼吸困難。
・虚脱状態。
(出典:AVMA / What to Expect After Your Pet’s Vaccination)
2005年のものではありますが、アメリカのパデュー大学の研究チームが約123万頭の犬に対して、ワクチン接種後3日間で発症した副反応について調査したところ、体重が軽くなるにつれて副反応のリスクが高まるということを見出したそうです。その中で、特にリスクの高い犬種は、チワワ、ダックスフンド、パグ、ボストン・テリア、ミニチュア・ピンシャーなどで、体重10kg以下の犬は体重10kg~45kgの犬と比較して、リスクはおよそ倍になるとか(*)。
かと言って、ワクチンを接種せずにいれば感染症に罹るリスクのほうが高まり、最悪の場合、命を落としてしまうこともあり得ます。ワクチンの副反応は必ず出るというわけでもありませんので、接種の前後には細心の注意をはらうしかないということでしょう。そのためには、主に以下のようなことにお気をつけいただければと思います。
・ワクチン接種前後の1~2週間は体調管理を怠らない。
・ワクチン接種前後の1~2週間はシャンプーをしない。
・お腹をこわしている、微熱があるなど、体調に不安がある時には接種しない。
・散歩や運動をした直後は避け、落ち着いた状態の時に動物病院へ。
・万が一、様子がおかしい時にはすぐに診てもらえるよう、接種は極力午前中に。
・ワクチン接種後は、30分~1時間程度、犬の様子を観察する。
・ワクチン接種後の散歩、運動はひかえる。
(*)Adverse events diagnosed within three days of vaccine administration in dogs / Moore GE et al. / J Am Vet Med Assoc. 2005 Oct 1:227(7):1102-8
犬でも定期的な健康診断というのは必要でしょうか?
若い犬では1年に1回、壮年期からは半年に1回は健康診断を受けたほうがいいと言われています。人間同様、犬もシニア犬が増えていることもあって、なるべく健康な時期を長く過ごそう、つまり健康寿命を延ばそうという考え方が広まりつつあります。近年、新しくできたある獣医師団体では、健康寿命に着目し、病気は治療より、まず予防からということで、定期的に健康診断を受けることを勧めており、そのためのキャンペーンも行っています。チワワにありがちな病気というのも確かにありますし、定期的に健康診断を受けることは望ましいのではないでしょうか。たとえば、関節や心臓など、そのコに何らかの気になるようなことがあるのであれば、それをメインに定期的に診てもらうといいでしょう。健康診断に必要な項目などについては、掛かりつけの動物病院でお尋ねください。
今年の冬は厳寒の日が続いています(2018年1~2月現在)。いつも以上に気をつけることはありますか?
寒い時期の基本的な注意点については、以前にも一度お答えしていますので、それを参考にしてみてください。しかし、今年のように記録的な寒さになると、やはりより気配りしてあげたいものですね。たとえば、車の中。暑い時期には高温となる車内での熱中症はよく知られていますが、実は、寒い時期には逆にエンジンを切った後の車内は急激に低温になるので、やはり注意は必要でしょう。JAF(日本自動車連盟)が行ったテストによると、-10.2℃の外気温の時に、車内を25℃に温めてあった車のエンジンを切ると、1時間後には15℃以上、3時間後には氷点下まで下がったそうです。実際、アメリカの動物愛護団体系では、寒い時期に車内に犬を長時間残さないようにと注意を呼び掛けたりしています。今年の1月には、ニューヨークにおいて、寒い車内にチワワを残していた運転手が通報され、警察の救助隊が車をこじ開けてチワワを救助し、運転手は逮捕されたというニュースがありました。余談ですが、アメリカでは州によって、緊急状態にあるペットを救うために、車の持ち主に断りなく車をこじ開けたとしても罪には問われないという法律があるそうです。その運転手は、自分のチワワは寒くて震えていたのではなく、周りの状況が怖くて震えていたのだと主張しているそうですが。確かに、チワワはぶるぶる震えるコが多いですし、事の真実はどこにあるのかはわからないというところでしょうか。
また、室内で暮らすことがほとんどのチワワではあり得ないだろうとは思いますが、室内犬が多くなった現在ではあまり見られなくなったものの、犬も凍傷になることがあるそうです。耳や尻尾、足先など、青白い、痛がっているなどの場合は、そういう疑いもあるとか。外に出す時間を考慮する、防寒対策をしっかりとるなどしてあげてください。
その他、地域や場所によっては積雪の際に凍結防止剤が撒かれていることがあり、その成分によっては足裏にダメージを与えることがないとも言えませんので、散歩後には念の為に足を洗うなどしたほうがいいでしょう。
チワワにマッサージをしたいと思っているのですが。
マッサージは本来の効能の他、犬とのコミュニケーションにもなりますし、体を触ることで異変にも早く気づくことができますので、生活の中に取り入れるのもいいのではないでしょうか。ただし、体のどこかを触った時に嫌がる場合は、痛みや何らかの違和感があることも考えられます。その場合には無理をなさいませんようにご注意ください。
簡単にできるものをいくつか挙げておきます。チワワは体が小さいので、場所によっては指先や綿棒を使うといいでしょう。
☑ 手の指を開き、犬の背骨に沿って、首の後ろから腰あたりまで、そして肩から足先へ、腰から足先へと、指の腹で梳かすように撫でる(血行促進)。
☑ おへそのあたりを中心に、お腹を右回りに撫でる(腸の働きを促進)。
☑ 親指と人差し指で耳を挟み、根元から先端まで優しく引っ張るようにマッサージ。耳の縁を指の先で円を描きながらマッサージ(緊張をほぐす)。
☑ 人間で言う眉毛にあたる部分の眉頭を刺激(緊張をほぐす)。
☑ 眼球の周りの骨の突起(眼窩)部分を指先で優しく刺激しながら撫でる(眼のトラブルに)。
☑ 前足の小指と薬指の付け根(股)部分を刺激(イライラの解消に)。 など
その他、マッサージにはいろいろ種類がありますので、勉強してみてください。
なお、マッサージの一環としてストレッチをする際、医学的には15~30秒ほどその状態をキープしないと効果はないそうです。ただし、犬の肩の関節は前後にしか動かず、人間のように横には開きませんので、無理に横に開くようなことはおやめください。また、関節に懸念のある犬では、力の入れ加減によって逆に危険なことになる可能性もありますので、心配な場合は、動物病院でお尋ねください。
社会化のためにもいろいろな経験をさせてあげたいとは思っていますが、チワワを体の大きい犬と遊ばせるのはやめたほうがいいでしょうか?
当犬舎主宅では、大型犬のホワイト・スイス・シェパード・ドッグとチワワとが同居しており、仲良くやっています。しかし、これは同居犬としてお互いをよく知っているからこそというのが一つにはあるでしょう。確かによその犬であっても大型犬と小型犬とが仲良くできることは多々ありますが、お互いの性格や相性、年齢、体力、運動能力(動き方)、社会化度などによって、うまく遊べる場合と、そうでない場合があると思います。こと、まだ若く、動きも速くてパワーもあり、社会化度が不足している大型犬と遊ぶことは、心配のほうが大きくなるでしょう。うまく社会化ができておらず、犬同士のルールを学べていない犬では、相手の犬が出すサインに気づかず、遊び方も過剰になってしまうことがあります。特に、チワワやポメラニアンのような犬では、頭頂部の泉門が開いたままのコも見られることがあり(参照:Q&A「チワワに興味があるのですが、水頭症が気になります」http://wan-to-sweet.com/%E3%83%81%E3%83%AF%E3%83%AF%E3%81%A7%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%84%E7%97%85%E6%B0%97/)、そのような犬では頭部への強い刺激は避けたいところですし、また、チワワのような目の大きい短頭種の犬では、ケンカや事故、落下などによって眼球が突出してしまうというようなケースが見られることもありますので、事故を避けるためにも遊ぶ相手は選びたいものです。
たとえば、初めて大型犬と遊ぶのであれば、性格的にも動きもゆったりした犬を相手にするのがいいのではないでしょうか。少なくとも、初めて会った犬といきなりノーリードで遊ばせる、遊んでいる最中、愛犬から目を離すというようなことはおやめください。相手の犬との相性を確かめるようにすることも忘れませんように。
チワワを飼っていますが、子犬を残しておきたいと考えています。チワワの場合、初産は何歳くらいまででしょうか?
獣医学的に何歳まで出産は可能というような話は耳にしたことがないのですが、繁殖に携わる人間の経験値的な視点から言いますと、概ね4~5歳くらいまでではないでしょうか。その年齢を過ぎても出産をすること自体は可能ではありますが、受胎しにくくなる、受胎したとしても難産になるなど、母体に負担をかける率が高くなっていきます。こと、チワワやトイ・プードルのような小型犬や短吻種では、出産適齢期であっても他犬種に比べて難産になる率が高いと言われています。ですから、子犬を産ませるのであれば、できるだけ若いうちのほうがいいでしょう。ただし、初めての発情を迎える時期は、まだ心身ともに成長しきったとは言えませんし、2回目の発情以降にお考えいただくのがよろしいかと思います。また、子犬を産ませるには、母犬の健康度(遺伝するような病気はないかも含む)はもちろん、性格(性格も遺伝します)についても考慮し、加えて、社会化も視野に入れた子犬の育て方、産まれた子犬の引き取り先、相手のオス犬選び(毛色によっては向かない組み合わせもあります)など、しっかり勉強およびお考えになってから交配するかどうかお決めになることをお勧めします。
チワワには関節系のトラブルもまま見られると聞きました。なるべく早く気づいてあげるために、見分けるポイントのようなものはありますか?
ここでは関節だけでなく、運動器疾患としてお答えします。犬も高齢になると関節炎が出たりしますが、若くても運動器にトラブルが出ることもあります。整形外科に特化した獣医さんに教えていただいたポイントを以下に記しますので、参考にしてみてください。犬に以下のような様子が見られた時には、運動器疾患を患っている可能性があるそうです。もちろん、原因は他にある場合もありますが。
✓ 階段の段差やソファの上り下りを嫌がる、上り下りの動作がゆっくりになった。
✓ 散歩に行きたがらない、遊ばなくなった、あまり走らなくなった。
✓ 立ち上がる時にもたつく、辛そうである。
✓ 元気がない、動きたがらない。
✓ しっぽを下げていることが多い。
✓ 寝ている時間が多くなった、逆に短くなった。
特に、慢性的な痛みがある場合は、痛いがために起きては寝るを繰り返すことから、寝ている時間が多くなる、またはなかなか寝られずに起きているということがあるようです。また、前肢や後肢の幅が以前より狭くなった、逆に広くなったという場合も慢性的な痛みがあるのでは?と疑えるそうです。その他、前脚を痛そうにしている場合、歩く時の頭の上下動を見ることで、どちらの足が痛いのかを推測できるとか。頭が下がっている時に地面についている脚は正常で、頭が上がっている時に地面についている脚が痛いのだそうです。ともあれ、そのような病気にはかからないのが一番。生活環境や運動、体重管理などに気配りして、予防を心がけてください。
初めてチワワと暮らします。部屋の中の環境で注意することはありますか?
寝場所としては、オーナー様の目が届きやすく、かつ、犬が落ち着ける場所で、空気の流れもあり、気温湿度もほどよい場所がよろしいかと思います。たとえば、玄関の近く、部屋の出入り口の近く、人通りや車の通りが見える窓際などは、いろいろな音が聞こえる上に、人の気配にも敏感になる分、犬も落ち着かず、場合によっては無駄吠えにつながることもあります。そうした場所は避けて寝場所をつくるのが理想的です。また、元来、犬は穴居動物ですので、穴倉のような場所を好みます。その習性から、前方のみに出入り口のある、穴倉のイメージに近いような寝場所を1ヶ所でも用意できるとより安心することでしょう。それが難しいようであれば、特に犬を落ち着かせたい時など、ケージの上からバスタオルをかけるといった方法でも代用できます。
部屋の中には危険なものもたくさんあります。人間の幼児同様、犬でも誤飲事故には注意が必要ですが、誤飲については『Q&Aチワワとの生活-私のチワワは結構イタズラ好きで、何でも口に入れてしまいます』をご覧ください(http://wan-to-sweet.com/%E3%83%81%E3%83%AF%E3%83%AF%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B4%BB/)。
その他、イタズラ好きなチワワでは電気のコードを齧って感電しないように、コード類は家具の後ろ側や高いところを這わすようにしたほうがよろしいかと思います。チワワは目が大きく飛び出ているため、床に積み上げた雑誌の角で眼を傷めるというようなこともありますので、部屋の中は整理整頓を心がけましょう。関節のためには滑りにくい床材にする、または滑り止めのマットを敷くことも大切です。
初めて犬を飼います。チワワは飼いやすい犬ですか?
チワワは超小型犬ですので食事は少量、ロングコートであっても大きな犬に比べればシャンプーやドライヤーの時間も短くて済みますし、体重が軽い分、キャリーバッグに入れて移動するにも楽です。食事代や医療費も中型犬や大型犬ほどにはかかりません。そういった意味では、飼いと言えば、飼いやすいでしょう。しかし、チワワは超小型犬ゆえに、逆に気をつけてあげなければならない点もあります。たとえば、食事を与え過ぎて肥満にしない(足腰、関節にも負担がかかります)、寒暖差への配慮、落下や誤って踏むなどのケガ防止、小さくて可愛いからと甘やかし過ぎてわがまま犬にしないなど。概ね、気質的にも老若男女に向く犬種だと思いますが、生き物ですので、扱いやすいかどうかを単純に判断するのは難しいと思います。それよりも、ご自身の性格や体力、生活環境、経済面、好みなどを総合的に考慮し、ご自分に合う犬種(犬)かどうかを判断なさるほうがよろしいのではないでしょうか。自分に合う犬であれば、ひいてはそれが飼いやすい犬であるということになるのではないかと思います。
チワワを飼いたいと思っていますが、寿命はどのくらいですか?
犬は総じて大型犬のほうが短命で、小型犬は長命の傾向にあります。人間同様、犬も寿命が延びていますが、一般社団法人ペットフード協会の「平成28年全国犬猫飼育実態調査」によれば、超小型犬の平均寿命は15.01歳、小型犬は14.09歳、中型・大型犬では13.73歳となっています。一方、アニコム損害保険株式会社が自社のペット保険に加入している犬を対象にした調査(2016年)では、小型犬14.2歳、超小型犬13.8歳、中型犬13.6歳、大型犬12.5歳、超大型犬10.6歳という結果でした。超小型犬より小型犬のほうが多少長生きとなっており、犬種別に見ると、チワワは12位だそうです。
そんな中、チワワでも20歳を超す犬がいるという話は耳にします。そこまで健康で長生きができたら素晴らしいことでしょうが、平均的なチワワの寿命は14~15歳くらいといったところでしょうか。とは言っても、個体差もありますし、寿命には食事や病気、体重(肥満は寿命を縮めると言われます)、歯の健康度(歯周病は様々な病気に影響します)、ストレスも含めた生活環境、住んでいる土地の気候風土など、いろいろなものが関係しますので、少しでも健康寿命を長くしたいと望むのであれば、日々の健康管理が大事となるのは言うまでもありません。
ちなみに、アメリカのジョージア大学が20年間にわたる約7万5,000頭の犬の死因を調査(2011年)したところ、チワワ(成犬)での3大死因は、心臓系疾患・外傷・感染だったそうです。それが日本の事情にも通じるというわけでもないとは思いますが、健康と長寿のためには、予防できる病気は予防し、心臓(肥満は心臓に負担をかけます)やケガにも注意するにこしたことはないでしょう。
チワワのしつけは、いつ頃から始めればいいのでしょう?
ここでは子犬であることを前提にお答えします。子犬を迎えてからの1週間は新しい環境に慣れる、それによる体調変化はないか注意するという点において大切な時期ですが、ベースとなるしつけについても同様に大切な時期となります。まず、食べることと排泄は生きていく以上、毎日必要なことですから、トイレトレーニングは子犬を迎えたその日から始まるとお考えください。同時に、噛むオモチャを与え、「君が噛んでもいいのはこれだよ」と教えることで、噛まれては困る物をいたずらされないよう、また、人の手や体に対する甘噛みもある程度予防することが可能になります。ある専門家によれば、子犬の顎の力は生後3ヶ月半頃に強くなってくるので、甘噛みの痛さもこの頃がピークになり、生後4ヶ月半頃までには甘噛みを抑制できていることが望ましいそうです。
リードや首輪(最初のうちはリボンのような軽いもので代用)に慣らすのは、新しい環境に慣れてからのほうがいいでしょう。それから、体のどこを触っても大丈夫なように慣らすということも、社会化という意味の他、しつけの基本に通じるものがあります。スワレやフセ、マテなど実質的なしつけは、その延長線上にあるものなので、何ヶ月からすべきというものではなく、まずは社会化と前出のような基本的トレーニングに重点を置かれるのがよろしいかと思います。
近年話題になっている『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』という病気が気になっています。都会でチワワと暮らしていますが、やはり注意が必要ですか?
当犬舎主は獣医師ではありませんので、詳しいことはお答えできませんが、SFTSはマダニが媒介する新種の感染症で、2013年に国内で初めて発生が確認されて以降、毎年60人前後の感染者がいるそうです。愛犬家からすると、ペットにも感染するのか? ペットから人に感染することがあるのか? というのがもっとも気になる点だと思います。厚生労働省の説明によると、犬や猫など動物が感染した場合は、多くが症状を示さない不顕性感染と考えられるとのことですが、今夏(2017年8月末)、SFTSで死亡した患者さんが、この病気に感染していたと考えられる野良猫に咬まれて感染した疑いが強いとの報道がありました。ということは、今後、人もペットも注意が必要な感染症であることに間違いはないでしょう。犬のバベシア症にしろ、SFTSにしろ、関西から南の西日本を中心に発生が多く見られるものの、それは広がりつつあるといいます。マダニは山間部のみでなく、藪や草むら、土手、状況によっては公園や自宅の庭でも棲みついていることがありますし、また、都会にお住まいでもご愛犬と一緒に自然豊かな地へ旅行に行かれることもあるでしょう。感染症に罹らずとも、多数のマダニにつかれた場合は貧血を起こすこともあるそうですから、小さなチワワであるとそれも心配です。ご愛犬とオーナー様ご自身の健康を守るためにも、マダニ予防対策はしっかりとなさることをお勧めします。
(参照:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A/厚生労働省ホームページ)
ぷるぷる震えているチワワをよく見かけますが、なぜですか?
チワワに限らず、犬が震える原因には、主に以下のようなものが考えられます。
- 寒さ
- ストレス
- 恐怖
- 興奮
- 痛み
- 低血糖
- 中毒
- ホワイト・ドッグ・シェイカー・シンドロームやてんかんなどの病気
- 高齢
- お腹が痛い、オシッコがたまっているなどトイレが我慢しきれない時
チワワは超小型犬であるがゆえに体温調節がややしづらいのでは?という説もありますし、チワワのような小型犬の子犬では低血糖が時折見られることもあります。恐怖や興奮も含めて、なんらかのストレスが原因の場合もありますので、その場合には、その原因を取り除いてあげることで震えはおさまるでしょう。また、高齢犬の場合は子犬同様、体温調節がしづらくなっていますので、暖かい場所を用意したり、洋服を着せたりなどの対処が必要になると思います。見過ごしがちなのが、トイレを我慢している時。特に、外でしかトイレをしないコの場合には、粗相や膀胱炎につながらないよう、適度に外に連れ出してあげてください。そう言えば、以前チワワが主役の映画で、「ボクらがぷるぷると震えるのは武者震いだ!」というセリフがありましたが、超小型とはいえ、犬らしさをしっかりもったチワワのこと、あながち的外れではないかもしれませんね。
チワワを歩時させる間はどのくらいが適当ですか?
下記の質問でもお答えしていますが、散歩や運動は何十分すれば大丈夫という時間ではなく、その密度であると考えております。30分ただ歩くよりも、10分走る、15分一緒にボール遊びをすることのほうが運動密度は高くなるでしょう。要は、オーナー様が愛犬のためにどのくらいの時間をかけることができるか?ということが先にありきなのではないでしょうか。それによって運動内容をお考えいただくのがよろしいかと思います。敢えて、歩く散歩と考えれば、チワワであれば1回の散歩につき20分程度で足りるかもしれませんが、個体差もあり、それでは満足しない犬もいることでしょう。ご愛犬の疲れ具合などを見て調整してあげてください。ちなみに、フィンランドで行われた調査では、恐怖症や分離不安、音響シャイの犬では運動量が少ない傾向にあるという共通点があったそうで、別のイタリアの調査では、散歩時間の短い犬は怖がりの傾向がある上に、トレーニングの反応性もやや低いという結果になったそうです。もちろん、社会化も大事ですが、その社会化に関係するのも散歩。心身の健康を保つということの他に、散歩を通していろいろな“よい”経験をさせてあげたいものですね。
初めて犬を飼います。チワワの抱っこの仕方を教えてください。
犬と暮らすのが初めての方の場合、犬を触ることや抱っこすることにも多少の不安をお感じなることがあるかもしれませんね。基本的には子犬をお渡しする時にご説明させていただきますが、気をつけていただきたいことがいくつかあります。犬の肩にあたる関節は、人間が両腕を大きく左右に広げるようには開きません。犬の関節の場合は前後に動くつくりになっていますので、前脚を無理に横に広げるような形での触り方や抱っこは子犬の関節に負担がかかるため、お控えください。子犬にとって嫌な抱き方をされると、以降、抱っこ嫌いになったり、体に触られることを嫌がったりすることもありますので、不安なようでしたら、最初のうちは膝の上に乗せて、子犬の体の下に手の平をそっとあて、少しずつ体を持ち上げられる感触に慣らしていくのもいいかもしれません。チワワは小さいですから、片方の手の平を子犬の胸にあて、もう片方の手でお尻が安定するように支えてあげます。この時、体がなるべく床と並行になるようにしてあげたほうが子犬もより安定するでしょう。なお、抱っこしていて落とす、子犬が飛び下りて骨折するといったケースはままありますので、骨が華奢なチワワのこと、落とさないよう、くれぐれもお気をつけください。また、逆に抱っこ癖をつけてしまうと、自分は守られているという意識が強くなったり、抱っこされている分、怖くても逃げ場がないことから、知らない人が手を出した時など、相手を噛んでしまったりというようなこともありますので、必要以上の癖はつけないようにお気をつけください。
チワワは超小型犬なので、洋服は必要になりますか?
チワワに限らず、昨今では犬に洋服を着せているオーナーさんも多くなりましたね。洋服を着せる必要があるのか、ないのかということよりも、目的に合わせてお考えになるのがよろしいのではないでしょうか。新陳代謝が低下するシニア犬や、夏場の暑さ対策として濡れたシャツを着せる、ドッグカフェや犬OKの宿に行く際に抜け毛を予防するために着せる、皮膚病対策など、理由がある場合は洋服も役に立つでしょう。ただ、本来、被毛には暑さや寒さから体を守る役目もあります。あまり過保護にし過ぎると被毛の伸びを悪くしてしまうこともありますし、洋服を着せることで体温調節や皮膚の機能に影響が出る場合もあるという獣医師もいます。また、生地の素材によっては逆にアレルギーが出てしまうケースもあるようです。先日、海外では、「犬に洋服を着せることを獣医師は基本的には勧めないが、多くのオーナーがそれに耳を傾けず、洋服を着せたがる」というようなニュースがありました。私としましては、常時着せることは避ける、洋服の素材にも気を配るなど、ほどほどにお考えいただくのがよろしいかと思います。
チワワは骨が細いですし、今後のことを考え、関節系トラブル予防の意味も含めてサプリメントを使おうか考えています。
関節系トラブルと言えば、確かにチワワは膝蓋骨脱臼における好発犬種の1つとして挙げられています。関節系に効果があるとされる成分の入ったサプリメントを使ってみるのもよろしいかと思いますが、分子量の違いや、犬用としてきちんと効果が研究された製品であるかどうかということはチェックすることをお勧めします。分子量は吸収率に関係しますので、折角使用するのであるならば、より効果が期待できるよう、なるべく吸収率も高い分子量のものをお使いになるのがよろしいのではないでしょうか。なお、サプリメントを摂取していれば、それで大丈夫というわけでもありません。併せて食事や運動、生活環境、体重管理などにも考慮が必要でしょう。ちなみに、明治大学が行った日本の犬の肥満度調査(2016)では、オス犬にくらべてメス犬は1.3倍肥満度が高く、肥満ではミニチュア・ダックスフンドに次いでチワワが、また、太り過ぎの犬としてはチワワがもっとも多かったそうなので、関節に負担をかけないよう、体重管理には気をつけたいですね。
先日、チワワには逆くしゃみと呼ばれるものが見られることがあると聞いたのですが、何のことでしょうか?
人間で言うくしゃみとは違って、突然、鼻をズーズー、ブーブーと慣らして息を吸い込むような仕草が見られることがあり、この症状のことを一般的に逆くしゃみ(逆くしゃみ症候群/revers sneeze syndrome/revers sneezing)と言っています。チワワに限らず、特に鼻の短い短吻種や小型犬に多いとされていますが、獣医師に聞いたところによると、病気というわけではなく、例えて言うなら人間のひゃっくりのようなものということです。原因は喉に近い鼻の奥周辺の痙攣やアレルギーなどが考えられているものの、はっきりとはわかっていないとのこと。症状は数十秒~数分程度で治まることが多く、元に戻れば犬もけろっとしています。ただ、似たように思えるものでも、ケッケッと何かを吐き出すようにする症状(犬では咳と言われます)や、アヒルの鳴き声のようなガーガーという音が続く場合は心臓や気管などに病気がある可能性も考えられるので、その場合には治療が必要になるでしょう。いずれにしても、気になるようでしたら動物病院で診てもらうことをお勧めします。
チワワのオスを飼っています。去勢手術を考えているのですが、術後に注意することはありますか?
避妊去勢手術をした場合、手術によってホルモンバランスが崩れることから、体が必要とするエネルギー量は減少する一方で、食欲は増すと言われます。よって、それまでと同じ量を与えている、または欲しがるままに食べ物を与えるなどしていると太りやすくなるのかもしれません。しかしながら、太る犬もいれば、太らない犬もいますし、運動量の違いも関係しますので、必ずしも量を少し減らしたほうがいいというわけではないと思います。様子を見ながら調整してみてください。
肥満は心臓や関節への負担、皮膚トラブルを起こしやすくなる、手術時の麻酔のリスクが高まる、免疫力の低下、老化も早く進みがちになるなど、体のあちこちに影響が出てしまいます。また、太り過ぎの犬より適正体重の犬のほうが、1.8歳寿命が長くなったという研究報告もあるそうですから、適正体重を維持できるように気配りしたいものですね。ちなみに、どのくらいの肥満(痩せ)度かをチェックできる『ボディコンディションスコア(BCS)』(環境省ホームページより )というものがありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
チワワの女のコが欲しいと思っているのですが、発情シーズンの世話について教えてください。
発情による出血は平均1~2週間となりますが、個体によっては3週間近く続く場合もあり、その後、オス犬を受け入れる状態へと移行していきます。出血の程度は個体差があり、パンツをはかせないと床にぽたぽたたれてしまうような犬もいれば、出血しているのかわからないような犬もいます。出血量が多く、かつ下腹部の毛が長い犬では汚れた部分が固まってしまうこともありますので、こまめに拭いてあげるといいでしょう。発情中はオシッコの回数も増え、独特の匂いもしますが、細菌も侵入しやすくなるため、あまり不潔になり過ぎないように気配りしてあげることも必要です。その後の約2ヶ月程度は偽妊娠の様子が見られる場合もあるますし、陰部から膿のようなものが出ていないかなど、時々様子をチェックしてあげるようにしてください。なお、犬OKの宿やドッグラン、ペットホテル、ドッグカフェなど、発情中の犬は利用不可となっているところも多く、小さいチワワだからと安易に考えたりせず、病気感染予防、そしてその場にいるオス犬への影響などを考え、発情中はこのような施設の利用は控えたほうがよろしいのではないでしょうか。
チワワの毛色による性格の違いというのはあるのでしょうか?
一部の犬種では毛色によって性格に若干違いがあるというような話を耳にすることもありますが、チワワの場合、毛色による性格の違いはないと思います。チワワのスタンダード上では、マール以外のすべての色調や組み合わせが認められているため、毛色やその組み合わせに幅があり、また、単色というのは少ないですので、そういった意味でも毛色間における性格の違いというのは生じにくいのかもしれません。それよりも、母犬や父犬からの遺伝、育った環境、社会化がどれだけなされているか、といった影響が大きいのではないでしょうか。
余談ですが、フィンランドで行われたある調査では、何かを怖がる、分離不安、音響シャイという問題をもっている犬は社会化が不足気味で、散歩や運動量が少ないという共通点があったそうです。犬の性格や行動を考えるのであれば、やはり社会化は大事であり、散歩にも重要な意味があるということですね。
チワワを飼いたいと思っていますが、オス犬とメス犬、どちらがいいか迷っています。new
体の構造の違いで言えば、メス犬は年2回の発情があり、その間、状況によってはオムツやパンツをはかせるなどのケアも必要となります。一方、オス犬は脚を上げてオシッコをするため、室内トイレを使用の場合、飛び散り防止として壁側にもトイレシートを貼る(L字型にして敷く)といった対策も必要になりますが、しつけ方次第で脚を上げないようにすることも可能ですし、性成熟する前に去勢手術をするなら、マーキング行為もかなり軽減します。また、一般的にはオス犬のほうがテリトリー意識が高い分、ケンカもしがちであると言われるものの、当犬舎のチワワたちを見る限り、そのようなことはなく、お互いに折り合いをつけてうまくつきあっています。むしろ、メス犬でもケンカが起こることはあり、マーキング行為もします(特に発情シーズン)ので、仮に避妊去勢手術をするのであれば、どちらであっても世話にかかる手間はそれほど変わらないでしょう。一点、ビジュアルの面ではオス犬のほうが毛量もあり、派手さは感じますが、要は、生き物ですから、性による一長一短があるのは自然なことで、どちらが飼いやすいということはないと私は考えています。
性別というよりも、オーナーとなられる方と子犬との相性、インスピレーション、ご自身の性格や好み、生活環境などを考慮してお選びになるのがよろしいのではないでしょうか。
白い毛色のチワワと暮らしています。涙やけが目立つのですが、お手入れはどうしたらいいでしょう?
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チワワはマルチーズやプードルなどと並び、涙やけがよく見られる犬種でもあります。涙で濡れた毛が赤茶色に変色するのは空気に触れて化学変化を起こす(たとえば、涙に含まれるタンパク質が酸化する)、バクテリアの作用、紫外線の影響などによるそうですが、そもそも通常以上に涙が多くなる原因としては、眼にゴミが入る、逆さまつ毛、眼瞼内反(眼の縁が内側に入ってしまっている状態)、鼻涙管(眼から鼻に涙を通す管)がもともと狭い、アレルギーなどが考えられています。チワワのような短頭種では鼻涙管が狭くなりやすい傾向にあり、その分、どうしても涙やけは起こりやすいようです。
鼻涙管や逆さまつ毛のような体の問題の場合は動物病院で診てもらい、状況に合った治療や処置をすることになるでしょうが、そうでない場合、フードを替える、手作り食にするといった対処で涙やけが改善されたというケースは結構耳にしますので、食事内容を替えてみる、または涙やけに効果があるというサプリメントを使用してみるというのも一策かと思います。涙やけの原因としてフードに含まれるタンパク質が粗悪である、添加物が体内に蓄積された影響というのも考えられていますので、フードを替えるとするならば、良質なタンパク質を使用し(肉の副産物を使用していないもの、グレインフリーのものなど)、添加物も無添加のものを選ぶのがよいでしょう。
また、老廃物を輩出するという意味では、新陳代謝を高めるために適度な運動も必要とされますし、さらさらの涙(鼻涙管を通りやすい)であるには水分も必要ですので、十分な水分補給ができるように心がけてあげることも大事となります。
お手入れとしては市販の涙やけ用のローションやクリーナー、ホウ酸を精製水で薄めたものなどを脱脂綿につけて優しく拭き取るというのが一般的ですが、ローションタイプには漂白剤や脱色剤が含まれているものもあり、それらは眼に刺激となることがありますから(特にチワワは眼が大きいので注意が必要)、避けたほうが無難です。安全性を考えれば天然の成分を使用しているものがよいと思います。その他、オゾン水も涙やけに効果があるということですので、オゾン療法やオゾン水を扱う動物病院、ドッグサロンがお近くにあるようでしたら、ご相談なさってみるのもよいのではないでしょうか。
チワワは体が小さいので気になるのですが、狂犬病予防注射は必ず接種しないといけないのでしょうか?
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『狂犬病予防法』という法律では、居住する市区町村に犬の登録をすることと、年に1回狂犬病予防注射をすること、その際に発行される鑑札や注射済票を犬に装着することが義務づけられています。ということは、体の小さいチワワであってもそれが適用されるということになります。しかし、1957年を最後に日本では狂犬病が発生していないということもあって、近年では接種率が下がり、実質的には50%以下(登録している犬で計算すると約70%)になっていると言われます。一方で、日本が狂犬病の発生していない国および地域として指定しているのは、日本を除き、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、グァム、ハワイ、アイスランドの6地域のみで、以前はそれに含まれていたノルウェー、アイルランド、スウェーデン、イギリスは2012年に、台湾は2013年に削除されています(農林水産省より)。少なくとも、他の多くの国々では未だに存在する怖い感染症なのだということは心に留めておく必要はあるでしょう。ちなみに、WHOでは2030年までに狂犬病による死亡者ゼロを目指した国際的な取り組みが2015年より始まっているそうです。
そうした中で、予防注射で犬にショック反応が出る、高齢や病気などがあって打てないというケースもあります。狂犬病予防注射猶予証明書(獣医師の診断が必要)というものを提出することで、一定期間、注射を免除してもらうことも可能となっている自治体も結構ありますので、接種をためらう場合、詳しくは動物病院で相談なさってみてください。
Wan to Sweet犬舎ではお勧めのドッグフードがあるということですが、一般的にドッグフードを選ぶ際、どんなことに気をつけたらいいのでしょう?
ドッグフードの種類は豊富にあり、特にチワワ(犬)と暮らすのが初めての場合、選ぶのはなかなかたいへんだと思います。これまで度々懸念されていたのはドッグフードの安全性であり、2007年にはアメリカにおいてフードの混入物が原因で亡くなるペットが相次ぎ、大規模なリコール騒ぎになったことがありました。通称FDAというアメリカ食品医薬品局では、リコール製品や安全性についての情報をネットで公開していますが、中国産のチキン、アヒル肉、サツマイモなどのジャーキーによってペットが病気になったという苦情は、2015年12月31日現在で約5,200件あるそうです。日本では2009年に『愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)』というものができ、『飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~』(環境省ホームページより)というパンフレットが用意されていますので、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
このパンフレットの中にも製品内容の表示について書かれてありますが、少々補足したいと思います。原材料については、10%以上含むものは必ず表記することになっており、原則、配合割合の多い順に表記されるようになっています。よって、「肉系」よりも「穀類系」の方が先に表示してある場合には、肉より穀類のほうが多く含まれているということになり、肉食メインの犬に向くとは言えないでしょう。また、たとえば、「とうもろこし、コーンスターチ」と書いてあった場合、両方ともがとうもろこしです。この2つが肉よりも後ろに書かれてあったとしても、この2つの量を足すと肉より多くなっているというケースもあります。その他、BHAやBHT、エトキシキン(これらは含有量が定められています)といった発ガン性やアレルギー、内臓機能障害が報告されている酸化防止剤が入っているものもあれば、より自然に近い酸化防止剤としてミックストコフェロール、ビタミンC、クエン酸、ハーブ類などが使われているフードもあります。後者のほうは酸化防止効果が弱く、その分、賞味期限は早くなっていますし、チワワは食べる量も少ないので、必要な量をこまめに買い、早めに使い切るようにしてください。
余談ながら、アメリカで行われたBPA(ビスフェノールA)という化学物質についての最新の調査では、BPA使用と不使用表示の2種類の缶詰ドッグフードを犬に2週間与えたところ、どちらも血中のBPAレベルが増加したというのです(Science Direct参照)。BPAというのは食器や容器にも使用されており、身近なものでは缶詰や飲料缶の金属腐食防止に使われていることがあります。その毒性についてはこのくらいであれば大丈夫という基準があったものの、それより少量でも体に影響が出ることもあるという報告があってから、各国でBPAの使用量について見直しが図られているようです(厚生労働省ホームページ参照)。いずれにしても、より安全にと願うのであれば、缶詰ドッグフードが残った場合(チワワでは1回で使い切れないことが多いと思います)、缶に入れたまま保存するというのは避けるべきでしょう。
チワワと暮らしたいと思いますが、動物病院はどう選んだらいいでしょう?
動物病院とは生涯にわたっておつきあいをすることになりますので、信頼できるかかりつけの動物病院があると安心できることでしょう。主に、以下のようなポイントをチェックしてみてください。
1. 病院内は清潔か。
2. 獣医師や動物看護師などスタッフの態度、動物の扱い方はどうか。
3. 診療料金が明確か。
4. 診察内容や診断結果をわかりやすくきちんと説明してくれるか。
5. 技術および診療設備は整っているか。
6. その病院での治療が難しい場合、他の専門病院を紹介してもらえるか。
7. 緊急時、診療時間外の対応はどうか?
2015年と2016年にイタリアで行われた動物病院における犬のストレスに関する調査では、4分の3以上の犬が待合室に入るとストレスサインを示し、約53%の犬が4つ、もしくはそれ以上のストレスサイン(もっとも多いのは、鼻を舐める・パンティング・耳を倒す・体を舐める・あくびをする・鳴く)を示したそうです。しかし、それに気づかないオーナーさんが多かったとか。また、日頃のケアをする際、犬が嫌がるので叱った上でケアを続けるという行為は、獣医師に対する攻撃的な態度と関連性が見られた他、犬に声掛けをしたり、撫でたりしない獣医師のほうが、犬はよりストレスを受ける傾向にあるということでした。
チワワはもちろん、犬にとって動物病院に行くことは少なからずストレスになることが多いものです。よって、普段から体のどこを触られても大丈夫なように慣らしておくこと、加えて、愛犬に対する自分の接し方や動物病院スタッフの態度にも留意することはストレス軽減につながるのではないでしょうか。その他、かかりつけの動物病院以外に、緊急時対応病院やある種の診療科目に特化した専門病院の情報も得ておくといいでしょう。
うちのチワワは歯が重なって生えています。
子犬の歯は生後21日頃から生えはじめ、生後2ヶ月ほどで乳歯が生えそろいます。永久歯が生えはじめるのは生後4~5ヶ月からで、生後7~8ヶ月頃には乳歯と永久歯が生え代わります。通常であれば抜け落ちてしまうはずの乳歯が残ってしまい、永久歯と並んで生えている状態を乳歯遺残と言います。小動物の歯に詳しい獣医さんによると、人間では乳歯が抜けた後に永久歯が生えてくるのに対して、犬の場合は乳歯と永久歯が併存して生えている期間があるそうです(犬歯=1~2週間/切歯・臼歯=0~2日程度)。永久歯が生えてきた後、この期間を過ぎても乳歯が残っているということであれば、乳歯遺残になるでしょう。これは特にチワワのような小型犬に多く、また、歯並びが正常ではない(歯の向きが違ったり、がちゃがちゃに生えていたりなど)不正咬合も同様に多いと言われます。元々小型犬は歯と歯の間の隙間が狭く、さらに乳歯遺残や不正咬合があると歯垢がたまりやすい上、歯周病のリスクが高まりますので、歯磨きは定期的にしてあげたいものです(犬の場合、歯垢が歯石へと変わるのは3~5日。少なくとも1日おきに歯磨きをするのが望ましいそうです)。動物病院では早めに乳歯を抜くことを勧めると思いますが、なるべく犬の歯に理解が深い動物病院でご相談なさることをお勧めします。
チワワの場合、冬場はあまりシャンプーをしないほうがいいのでしょうか?
シャンプーは1ヶ月に1回程度で十分だと思います。ただし、素早く、かつ完全に乾かすようにしてください。特に長毛のチワワの場合、静電気が起こることがありますが、静電気予防効果のあるグルーミングスプレーや、リンスを薄めたものを被毛に吹きつけてブラッシングをすることである程度は対処が可能です。トリートメントやコンディショナーには保湿性があり、一般的に帯電防止剤が含まれていて、電気を中和する作用があります。肌への刺激が気になる時には、天然系やアミノ酸系、両性系の界面活性剤が使用されているもののほうがいいでしょう。
また、静電気は乾燥していると起きやすいため、保湿器の使用もお勧めします。その際、湿度は50~60%程度が望ましいようです。ユニークなものでは静電気除去効果があるという犬用のネックレスも市販されているようですが、使用経験はないため、効果のほどはわかりません。人間では、静電気の帯電は血液の流れをはじめ健康に影響するという話があります。犬にも同じことが言えるのだとしたなら、静電気が起きやすい犬ではなるべく予防や除去をしてあげるのがいいということになりますね。ちなみに、犬に触る時に静電気が発生するなら、ハンドクリームを手に塗ると効果的です。
チワワは小さいので、寒い時期は心配です。気をつけることはありますか?
子犬の場合、まだ体温調節機能も十分には発達していません。チワワにありがちな低血糖症も気温の低下が関係することもありますので、敷物やペット用ヒーターなどを使って保温には気をつけてください。「お散歩デビュー」のご質問でもお答えしましたが、雪の日や霜が降りている時には、無理に散歩する必要もありません。
また、冬場は飲水量も減り、オシッコの回数や量も減りがちになります。その分、オシッコが濃くなってミネラル濃度も上がり、尿路結石になりやすい状況となってしまいます。尿路結石にはストルバイトやシュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウム、シスチンなどいくつか種類があり、それぞれ犬種によって好発しやすい傾向があるようで、獣医さんによるとチワワの場合はシュウ酸カルシウム結石が多いようです。結石の原因は飲水量の他にもいろいろありますが、予防という意味でもちゃんと水を飲んでいるか観察をし、あまりに少ないようであれば、フードにスープをかけるなどして水分補給できるようにしてあげてください。
その他、乾燥した空気はウィルスや病原菌も活動しやすい環境となりますので、予防できるものはしっかり予防しておきましょう。
なお、中にはこたつやストーブが好きな犬もいます。被毛がある分、熱さに気づきにくく、ずっと同じ場所で寝ていて低温火傷を起こす、脱水症状を起こすというようなケースもありますので、くれぐれもご注意ください。
迷子予防のためにチワワでもマイクロチップを装着しておいたほうがいいのでしょうか?
2016年の末のこと、行方不明になってから9年経って戻ってきた犬、そして11年後に戻ってきた猫のニュースを目にしました。どちらも装着されていたマイクロチップによって身元がわかったということです。マイクロチップはこのような時には有効に働くものの、リーダーがないとチップの情報を読み取れない、見た目では装着していることがわからない、情報を登録しておかなければ意味がないといったデメリットもあります。目下、行政ではマイクロチップ装着の義務化に向けて検討が重ねられているということですが、一般の方の意識には温度差があるように感じます。参考までに、行政によって行われたモデル事業の中にマイクロチップに関するアンケート(対象:一般飼い主、動物病院、ペットショップ)がありましたので、興味がおありのようでしたらご覧になってみてはいかがでしょう。(『平成26年度犬及び猫のマイクロチップ等所有明示の推進に関するモデル事業の実施等業務報告書』/環境省) このアンケート結果からも、体内に異物を入れることの抵抗感はやはり強いようです。今後、マイクロチップが義務化となるのか、そうなった場合の対象はすべての犬や猫なのか、販売される個体だけなのか、それはまだわかりませんが、現状ではマイクロチップ装着に関してはオーナー様のお考え次第だと思います。ただ、装着をしないのであれば、代わりに迷子札や鑑札などでご愛犬のチワワの身元がわかるようにしておいてあげることを強くお勧めいたします。
ペット保険の加入を勧められたのですが、必要でしょうか?
オーナー様の経済状況やご愛犬の状況などを考慮の上、お決めくださいとしか申せませんが、小さく可愛いチワワだからこそ気をつけたい病気やケガもあることは確かです。ペット保険のご加入をお考えの場合、主に以下のようなポイントをチェックしてご判断なさるのがいいのではないでしょうか。
① 保険会社の経営規模
ペット保険には、傷害保険会社と少額短期保険会社の2種類がある。後者の方が資本金も補償保険金額も少なく、保険期間は概ね1年。
② 給付率
定率補償型、実額補償型、定額補償型などがある。
③ 請求方法
保険金請求書や領収書、診療明細書などを保険会社に先に送付し、後日給付金が戻ってくるタイプと、動物病院で清算の際に自己負担分だけを支払うタイプとがある。後者は保険会社と提携している病院のみ。
④ 加入条件はどうか?
加入できる年齢、更新できる年齢、掛け金(終身同額や年齢ごとに上がるタイプがある)、健康診断が必要か、必要であれば指定の病院なのか、保険会社が指定する疾患をもっていないか(もっていると加入できない)、など。
⑤ 補償対象を確認
予防ワクチンや歯石取り、針灸、不妊去勢手術などは補償対象外。中には事故が原因の車椅子の費用や、特約で葬儀費用も補償対象となる保険会社もある。
私のチワワは結構イタズラ好きで、何でも口に入れてしまいます。
気をつけていただきたいのは、誤飲事故です。小型犬のチワワは口も体も小さいですから、そうそう大きな物は飲み込めませんが、それでも飲み込んでしまうと危険なものもあります。中毒を起こす危険性があるとされるタマネギや長ネギ類、チョコレート、キシリトール、レーズンなどの食品、スズランやシクラメン、ポインセチアなどの植物の他、洗剤や薬品、焼き鳥の串、ボタン、布、針、毛糸、紐、電池など。オーナー様が飲用している錠剤を食べてしまって死亡する例や、状況によっては摘出手術が必要になる場合もあります。最近、アメリカであった例として、トウモロコシの芯を食べてしまった犬が急激に体調を崩し、手術が必要と言われたものの高額な費用が払えず、オーナー様は一瞬安楽死を考えたという話もありました。誤飲で命を落とすのはなんとも悲しいことです。こと小さいチワワでは、ほんの少量で症状が出てしまうこともあるでしょう。
危険な物を口にしないよう愛犬の生活環境を整えると共に、誤飲は繰り返すことがあると言われることからも、咥えた物を出させるよう「出して」「オフ」といったしつけもしておくといいでしょう。余談ですが、ペット保険のアニコムさんのデータによると、秋~冬にかけて誤飲事故が多いようです。季節との関連性はわかりませんが、くれぐれもお気をつけください。
マンションに住んでいます。集合住宅でチワワと暮らす際に気をつけることはあるでしょうか?
チワワに限らず、集合住宅で犬と暮らすには、一戸建てとはまた違った気配りが必要になる部分もあるでしょう。たとえば、エレベーターや廊下といった共用部分では、サイズにもよりますが極力ダッコする、キャリーに入れるなどして移動をするというのも一つ。エレベーター内の粗相とか毛が残っているというのはクレーム対象になりますから気配りが必要だと思います。また、ベランダやバルコニー、特に1階の部屋についている専用庭というのは一見専有部分と思いがちですが、実は専用使用権が認められた共有部分にあたるのだそうです。ベランダでブラッシングをしたりすると毛が飛び散ってご近所の洗濯物についてしまうこともありますし、床に響く足音や、過剰な吠え声など防音対策も状況によっては必要になる場合もあるのではないでしょうか。さらには、お風呂場でシャンプーをする時、排水管の毛詰まりも注意したほうがいいと思います。
最近、「アニマル・ウェルフェア」という言葉を時々耳にするのですが、どういう意味でしょう? チワワとの生活に関係がありますか
近年、ペット環境も大きく変化を見せています。犬猫の殺処分ゼロに向けた動き、子犬や子猫を親から引き離す日齢(当犬舎では社会化を考慮し、早期に子犬を母犬から引き離してお渡しすることはございません)、高齢者とペットとの関係、子供への動物を介した教育など、それぞれに重要なテーマとして尽力している方々がたくさんいらっしゃいます。そんな中でアニマル・ウェルフェアという言葉が話題になることがあります。これはイギリスの家畜福祉協議会が提唱した「飢えと渇きからの自由」「苦痛や傷害、疾病からの自由」「恐怖や苦悩からの自由」「不快からの自由」「動物として正常な行動ができる自由」、これら「5つの自由」と呼ばれるものが基本となった動物と向き合う際の概念を意味するもので、この5つの自由は、最低限動物に与えられるべきであるというわけです。40年ほど前にヨーロッパで普及した後、アメリカや日本などでも徐々に受け入れられるようになっています。少々難しく聞こえるかもしれませんが、要は、生きていくために必要な食事や水が与えられ、病気やケガについても配慮されていて、必要以上のストレスがなく、動物として自然な行動ができるように、その環境は考えてあげましょうということです。ろくに食べ物もあたえず、庭先につなぎっぱなし、病気があっても病院にも連れて行かないような飼い方は、アニマル・ウェルフェアを無視しているということになります。
うちには幼い子供がいます。チワワを飼いたいのですが、病気のことが気になっています。
ペットと暮らす以上、知っておきたいのは人畜共通感染症(ズーノーシス/動物由来感染症)です。病気の中には人と動物とが共通してかかるものがあります。その中で犬に関連する代表的な病気としては、狂犬病や回中症、瓜実条虫症、疥癬、皮膚糸状菌症、レプトスピラ症など。一つにはそうした知識情報を得ておくこと、もう一つには何より予防が大事となるでしょう。
子犬は健康管理に留意した場所から手に入れる、ワクチンで予防できる病気は犬の体に無理のない範囲で予防接種をする、ノミやダニを予防する、定期的に健康チェックをする、犬の体や寝場所・グッズ類を清潔に保つ、咬み癖をつけない、犬にお子さんの顔を舐めさせないようにする、台所へ犬を入れない、犬のウンチやオシッコはすぐに片付けるなど、日々の健康管理とケアを怠らないことでかなり予防対策になると思います。
その他、オーナー様ご家族自身も免疫力を高め、かつ維持できるよう健康に気を配ることも大切なのではないでしょうか。あまり神経質に考え過ぎず、犬との生活を楽しむといった気持も必要に思います。
子犬の時に混合ワクチンを複数回接種するのはなぜですか?
子犬は母犬の初乳を飲むことによって(一部には胎盤を通じて)、移行抗体を譲り受け、当面の間は感染症に対抗できるだけの体になっていますが、この抗体は生後2~4ヶ月齢くらいまでの間に徐々に消えていってしまうのです。
抗体がなくなると、当然感染症の危険にさらされることになりますから、その前にワクチンを接種してあげる必要があります。
ただし、難しいのが、抗体が少なくなる時期というのは子犬によってタイミングが違うということ。なぜそのタイミングが重要になるのか?というと、まだ抗体が十分残っているうちにワクチンを接種しても高い効果は得られないからです。
よって、抗体価が落ちてきそうな頃を見計らって接種する必要があり(ブースター効果)、複数回接種することで確実性を高めるというわけです。動物病院によって接種時期や接種間隔、回数には若干違いがありますが、概ね、生後6~9週齢くらいで1回目を接種し、その後は3~4週間隔で1~2回接種するのが一般的なようです。
ちなみに、世界小動物獣医師会(WSAVA)のワクチネーションガイドラインでは、すべての犬に接種するべきとする重要度の高いコアワクチン(犬ジステンパー、犬パルボウィルス、犬アデノウィルス、日本では法律で義務化されていることから狂犬病も)と、地域性やライフスタイルによって接種を選択するノンコアワクチンとに分けています。
超小型犬なので、散歩はしなくても大丈夫ですか?
チワワは超小型犬ゆえ運動量も少なく、よって散歩も必要ないというわけではありません。小さくても犬は犬。身体的健康のためはもちろん、いろいろなものに慣れて犬としての社会性を身につけるという意味でも散歩は大事です。ただ、散歩には定義がなく、一日何回行けばいいとか、一回に何十分歩けばいいとか、そういう決まりはありませんし、雨や雪の日でも絶対に散歩に行かなければいけないというわけでもありません。夏であればアスファルトの熱が冷めた時間帯に行くというふうに季節に合わせて散歩の時間を調整し、犬ばかりでなくご自身も楽しめるように散歩をなさるのがいいのではないでしょうか。散歩では理由がない限り、なるべく自分の足で歩かせるようにしてください。しつけが完了していない時点では、伸縮タイプのリードはトラブル防止という意味で使用しないほうが無難です。また、他の人や犬に吠えつく癖をつけさせないこと。そのような素振りが見られた時には、吠える前に、オーナー様の体で相手が見えないようにさえぎってしまい、愛犬にマテやスワレをさせ(おやつやオモチャに集中させるのもOK)、相手が通り過ぎるのを待つ、吠えずにいられたら褒める、というような方法もあります。
初めて犬を飼います。子犬を迎える前に準備しておくことはありますか?
子犬を迎えるまでには、少なくとも次のようなものをご用意ください。サークル、ベッド、トイレシートまたはトイレトレー、食器、給水器、子犬用のササミやミンチなどの缶詰またはレトルトフード、シリンジ(針のない注射器)またはスポイト、ハチミツ。トイレに関してはトイレシート自体をトイレとすることも可能ですので、必ずしもトイレトレーが必要になるというわけでもありません。飲み水については、当犬舎では給水器を使用しているため、子犬もそれに慣れています。環境が変わることによって食欲が低下する場合もあり、チワワは超小型犬であるため、食べないということは体に影響が出る心配もありますので、そのような状況も想定して、予め食いつきのよさそうなフードを用意しておくといいでしょう。また、チワワでは低血糖状態になることもままあります。ふらつく、ぐったりしているなどの様子が見られた時には、すぐに動物病院に連絡をするとともに、病院に着くまでの応急処置としてシリンジに入れたハチミツを少しずつ舐めさせてください。
ドッグランやドッグカフェに行きたいと思っていますが、気をつけることはありますか?
ドッグランにしろ、ドッグカフェにしろ、犬好き同士が集まる場所だからしつけやマナーを無視してもいい、好き勝手していいということでは決してありませんので、その点はご理解をお願いします。オーナー様が話に夢中になり、愛犬がトイレをしたのにも気づかない、他の犬が嫌がるのに追い駆けまわしているのにも気づかない、カフェであればテーブルの上に足をかけさせる、人間用の食器で食べ物を与える、店内でトイレをさせる、吠えていてもやめさせない、犬をうろうろさせて他の通行の邪魔になる、店内のルールを確認せず、敷物も敷かずに勝手に椅子に犬を座らせる、などの行為はNGとなります。ドッグランやドッグカフェを楽しむには、やはり最低限のしつけやマナー、周囲への気配りは必要であり、同時に愛犬に対しても気配りが必要です。ドッグランに行ったとしても、他の犬やその環境が怖くてなかなか遊べないということもあるでしょう。そのような様子が見られた時には無理をせず、最初は周囲で様子を見せるだけ、次はリードを付けたままでドッグランに入ってみる…というふうに少しずつ慣らすようにしてください。
チワワは体が小さいので、暑い時期になると熱中症や夏バテが心配です。
犬が熱中症を起こす可能性が出てくるのは気温22℃、湿度60%くらいからだとか。熱中症は急激に状態が変化し、命にかかわることがあります。大きく口を開け、呼吸の仕方が速くハァハァと苦しそう、ヨダレを垂らす、泡を吹く、痙攣している、体温が高いなどの症状が見られた場合には、すぐに動物病院へ連れて行ってください。体を水につける、アイスノンで首や内股を冷やすなどの応急処置もありますが(注:冷やし過ぎもよくない)、とにかく病院へ。チワワは背が低い分、地面からの照り返しをもろに受けますので、散歩の時間帯を配慮すると共に、くれぐれも車内に残す時には注意してください。また、近年、人感センサー付きのエアコンでは、小型犬であるとセンサーが反応せずに作動停止してしまい、帰宅したら犬が熱中症になっていたという事故もちらちらあるようです。熱中症の発生場所としては室内が約4割という調査結果もありますので、室内だからと安心するのは禁物ということです。
また、夏バテで食欲が低下している場合には、フードを替える、ふやかす、チキン・牛肉・豚肉・鹿肉・馬肉などをトッピングする、スープをかけるというのもいいでしょう。チワワは超小型であるため何日も食べずにいると体に支障が出ることがあります。食べたがる物(ただし安全でエネルギーになる物)を与えるのが一番いいのではないかと思います。食べたがるということは、すなわち体がそれを要求しているということでもありますから。
犬の行動や仕草からわかることはありますか? ②
ストレスサインの中にはカーミングシグナルと呼ばれるものもあります。これは何らかのストレスがかかる状況の時に、自分や相手に「まぁ、ちょっと落ち着きなよ」といったクールダウン効果のあるサインと言われます。たとえば犬を叱ったとして、その時に犬があくびをしたとします。それは「ママ、そんなに叱らなくてもいいじゃない。もっと落ち着いてよ」と言っているのかもしれません。また、初めて会う犬が吠えついてきた時、その相手に対し、自分の体の横側を向ける形で弧を描くように通り過ぎたとしたら、「そんなに吠えなくていいよ、僕、何もしないから」と言っているのかもしれません。主なカーミングシグナルには以下のようなものがあります。
- あくびをする。
- 鼻の頭を舐める。
- 相手に対して顔をそむける。
- 体を掻く。
- 座る、伏せる。
- オシッコをする。
- 体をぶるぶる振る。
- ゆっくりとした動作をする。
- 誰かと誰かの間に割って入る。
- 相手に体の横側を見せて、弧を描くように歩く。
注:カーミングシグナルは犬が見せる普段の仕草と同じであるため、その仕草が見られたからといって即座にストレスがあると判断するのは間違いで、その時に犬が置かれた状況から判断しなければいけません。また、上記のストレスサインにしろ、病気が原因の場合もありますので、気になる時には動物病院で診てもらってください。
犬の行動や仕草からわかることはありますか? ①
一つには、ストレスサインを理解しておくと犬との生活に役立つのではないでしょうか。人間でもストレスがかかるとイライラしたり、過度になると病気に発展したりするように、犬も同様にある種のサインを示すことがあります。たとえば、次のようなものです。
<体>
- 下痢や便秘になる。
- 食欲が低下する。
- 体が震える。
- 体が硬く固まって緊張している。
- 呼吸が荒い。
- フケが出る、皮膚が乾燥する、脱毛する、アレルギー症状が出る。
- 目に緊張感があり、時に充血している。
- パッド(肉球)が汗でにじむ。
<行動>
- 吠え続ける。
- 落ち着かない。
- 粗相をする、トイレの回数が増える。
- 一定の場所を行ったり来たりするような同じ行動を何度も繰り返す。
- 自分の体を何度も繰り返し舐めたり、噛んだりする。
- カーミングシグナルが見られる(*以下のQ&Aを参照)。
<内面>
- 活力がなくなる、元気がない。
- 攻撃的になる。
車に乗せて、一緒にドライブや旅行に行きたいと思っています。
ドライブや旅行は普段とは違う愛犬の表情が見られる上に、社会化の一環にもなります。ただ、犬は車に酔いやすいために、「酔う⇒車が嫌い」とならないよう、少しずつ慣らしていく必要があるでしょう。初めての時にはエンジンをかけず、ただ車内で遊ぶだけ。次は近所を一周してみるというふうに、少しずつ距離を延ばしていきます。その際、安全のためにもキャリーに入れることをお勧めします。車から降ろす時にもキャリーごと降ろすか、マテをかけてから。車で行く先が動物病院ばかりであると、「車⇒イヤな所に行く」となってしまいますので、近所へのお買い物や少し離れた公園など、行った先で楽しいことがあるようにするのが早く車に慣れさせるポイントです。なお、車内に愛犬を残す場合、気温には充分お気をつけください。JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の車内温度テストでは、外気温が23℃であっても、車内は約50℃に達したそうです。熱中症は夏ばかりではありません。くれぐれもご注意ください。
また大きな地震がありましたが、災害対策として、しておくべきことは?
まずは熊本地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます(2016.4.29現在)。愛犬と一緒にいる時に災害が起きるとも限りませんし、犬もパニックになって外に飛び出し、迷子になるケースも多くあります。災害対策として何より肝心なのは、愛犬の身元を示す迷子札やマイクロチップ、鑑札などを利用することだと思います。マイクロチップに関しては、オーナー様にお渡しする時点で子犬がまだ若齢であること、そしてチワワは超小型犬であることから、体への負担を考え、当犬舎では挿入しておりませんが、「動物の愛護及び管理に関する法律」ではオーナーはペットの身元を明示する責任があるとしていますし、ご自身でお考えの上、ご判断いただければと思います。
また、被災地に居住する方々からは、どうしても人間の物資が優先されるため、ペット用の水やフード、トイレシートが足りないという話が聞かれました。特にそういった物は普段からストックしておくことをお勧めします。その他、いざ避難する時や避難所での生活ではキャリーが有効となりますので、当犬舎でも日常的に使用していますが、普段からキャリーに慣らしておくということは大切でしょう。
将来的に多頭飼いをしてみたいのですが。
状況や環境が許すのであれば、多頭飼いはお勧めします。本来は群れで生活する習性がありますから、犬にとっては自然な生活スタイルであり、犬同士だからこそ学べることも多々あると思います。中にはどうしても合わないコというのもいますが、犬は柔軟性をもっていますので、一緒に生活するうちにお互いが合わせる術を学ぶことも多いように感じます。ただ注意したいのは、いきなり先住犬と新しい子犬を一緒に生活させないということ。寄生虫をはじめ感染症をもっている場合もあるため、少なくとも1~2週間は新しい子犬を隔離して様子を見てください。その間、先住犬の姿が見える状態でも大丈夫です。問題がないようなら、先住犬と少しずつ遊ばせるようにし、一緒の生活を始めます。もう一点、子犬は可愛いですが、何をするにも先住犬を優先してください。子犬ばかりをかまい過ぎると先住犬が情緒不安定になる、攻撃的になるなど問題が生じることがあります。犬同士の年齢については、社会化の観点からすると、幼年期の頃から年齢の近いコ同士で多頭飼いするのが理想なのではないかと私は考えています。
【関連注意事項】
上記でご説明したように、子犬であれ成犬であれ、
ノミやダニの予防というのは必ず必要ですか?
予防は可能な限りしてあげてください。と言いますのは、
繁殖をしないのであれば避妊手術をしたほうがいいのでしょうか?
避妊去勢手術にもメリットとデメリットがあります。
うちのコは少し大きいので、大きくなり過ぎないよう食事制限をしたほうがいいでしょうか?
体が大きくなるかどうかは遺伝にも関係します。加えて、
結構吠えるので近所迷惑にならないかと心配です。
犬が吠えるにも警戒や不安、ストレス、要求、痛み、甘えなどいろいろな原因があります。まずはその原因をさぐり、可能なものはできる限り排除してみるのがいいでしょう。たとえば、窓際に犬の寝場所があった場合、外を通る人や車が気になるなら、寝場所を窓から離すことで吠えが軽減することもあります。ケージの中で吠え続けている場合には、スリッパや新聞紙のようなものをケージに軽くぶつけるという方法もあります。ただし、自分がそれを投げたとは犬にわからないようにするのがポイントです。つまり、吠え続けると犬にとって不快なことが起こると思わせるように仕向けるわけです。静かになった犬を褒めるにしても、特にテンションの高い犬では大袈裟に褒めるとさらに興奮して吠えるということがありますからほどほどに。また、犬の要求に対してすぐに応えていると、吠えれば要求が通ると犬は覚えてしまいます。オーナーさんが吠え癖を作ってしまっているケースもありますので、犬に対する日頃の自分の態度を見直すことも必要ではないでしょうか。
散歩に出てもなかなか歩きたがりません。散歩が嫌いなのでしょうか?
時折、チワワではこういうケースを耳にします。何かが怖いのかもしれません、地面やコンクリートなど足の裏に感じる感触に慣れていないために不安なのかもしれません。散歩デビューの時にいきなり賑やかな場所に行くと怖がってしまい、トラウマを作ってしまうこともありますので、できれば最初のうちは静かな場所から散歩を始めることをお勧めします。歩かない場合は、リードを軽くちょんちょんと引っ張ると、それに促されて歩き出すこともありますが、人間でも引っ張られると反射的に逆方向に引っ張り返すのと同様に、やり過ぎは逆効果です。それでもダメな場合は、逆方向に歩いてみる、好物のおやつやオモチャで気を引いてみるという方法もあります。1~2歩でも自分で歩いたなら褒めてあげ、一度にたくさん距離を歩こうと思わず、少しずつ距離を延ばすようにしてみてください。甘噛みにしてもそうですが、多頭飼いであれば仲間同士じゃれ合うことからストレスの発散にもなり、噛む力の抑制も自然と覚え、怖がりだったコに自信がつくこともあります。ただし、これは個々の子犬の性格やオーナーさんの環境にもよりますので、安易に多頭飼いすることをお勧めしているわけではありません。
甘噛みに困っています。対処法はありますか?
人の手や体に強く歯をあてることは将来的に他人にケガをさせてしまう危険性もありますので、やはりやめさせたいものです。子犬が強く噛んできた時には、「痛い!」と大きな声をあげます。この時、オーナーさんが大袈裟に騒ぐと子犬がかえって興奮し、もっと強く噛んでくることがありますので注意が必要でしょう。子犬が口を一瞬離したなら、手は見えないように隠してしまいます。しばらく様子を見て、再度手を見せた時に噛んでこないようなら褒めてあげ、噛んでもいいオモチャを与えます。子犬が落ち着かないようなら、遊びを中断して、他の用事でもしましょう。これを繰り返してみてください。もしかしたら、子犬はやることがなくてつまらないのかもしれません。散歩に連れ出して外の空気をあてる、ワクチンが完了しているなら少し歩かせてあげるだけでも落ち着くこともあります。
チワワに興味があるのですが、これまで犬を飼ったことがないので、ちゃんと飼えるか心配です。
チワワに限らず、犬と暮らそうと思った時には、犬はどういう動物なのか、犬の習性や犬種の特性、歴史、病気などについて、ある程度知識を得てから犬を迎えることをお勧めします。そうしたことを知らないままに飼うことによって、犬への接し方や対処法を間違え、問題行動を生じさせてしまう、病気にさせてしまうというようなこともあります。せっかく子犬自身はいい素質をもっていたとしても、それでは残念なことです。本来、犬は群れで生活をする動物ですので、オーナーさんは犬にとって信頼できる相手でなければなりません。犬は経験から学ぶ動物です。たとえば、イタズラをある時は許し、ある時は叱るというような一貫性のない態度で臨めば、犬からの信頼をなくすことでしょう。また、犬も自分にとって“いいこと”は脳にインプットされますので、何か行動を起こした時に嬉しいことや楽しいことがあれば、その行動が身に付きやすくなります。逆に嫌なことがあればそれは嫌いなものの対象になり、つまらないことがあればその行動はやがて消えていくでしょう。その他、仲間とコミュニケーションをとるツールの一つとしてボディランゲージがありますので、それをうまく読み取ってやれるように努力することも大切です。
トイレのしつけがなかなかうまくいきません。
まず申し上げたいのは、迎えた子犬が完璧にトイレをマスターしているものと思い込まないようにお願いいたします。もちろん、子犬をお渡しするまでの間にトイレトレーニングは行っておりますし、一般のご家庭とは違って犬が多数いるため、先輩犬を見習ってトイレも覚えやすい状況にはあります。しかし、まだ生後2~3ヶ月という発育途上の幼い月齢であることから、“完璧”を求めることには無理があるのと同時に、新しいお宅に行き、環境ががらりと変われば、「どこでトイレすればいいんだろう?」と迷いもし、失敗もしがちになります。各ご家庭で一からトイレトレーニングをし直すというようなおつもりで対処をお願いできればと思います。
トイレの覚えが早いか遅いかは子犬の性格によっても違います。大事なのは、一に失敗をさせないこと。二に、他のしつけはともかく、トイレトレーニングに関しては叱らないこと。
ケージやサークルからいきなり広い部屋に、それも長時間出して自由にさせるのは失敗の原因となり、NGです。ほんとうはトイレを覚えていても、その場所まで間に合わず、結果的に粗相となってしまうこともあり、また、急に広い場所へ出てトイレがどこにあるのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。本来ならば失敗せずに済むものを、逆に失敗するチャンスを作ってしまっているとも言えます。トイレトレーニングがうまくいかないという場合、このようなケースが多いのではないでしょうか。
そして、失敗に対して叱るとどうなるか。トイレを覚えるどころか、逆にトイレをすること自体がいけないことなのだと思ってしまうこともありますし、子犬の性格によってはオーナーさん自身を怖がるようになってしまうこともあり得ます。オーナーさんの顔を見ただけで緊張のあまりオシッコを漏らすようになったり、体が固まったりするようになると、トイレトレーニングが更に難しくなってしまうことでしょう。トレーニングかける時間も倍増するということです。そればかりか、子犬のその後の性格形成にも影響を与えてしまう可能性も考えられます。
ご参考までに、当犬舎がお勧めするトイレトレーニング法をご紹介します。
ステップ1:
これまで生活していた環境により近ければ、その分ストレスがかかりませんので、最初のうちは当犬舎での生活スタイルに近い環境を極力作ってあげるようにしてください。ケージ(幅約90cm×奥行約60cm×高さ約50cm)の中の片側にはベッドを置き、残った部分にはトイレシーツ2~3枚程度を敷き詰めます。可愛さのあまり、自由に遊ばせたいところですが、そこはぐっと我慢。少なくとも1週間程度はケージの中で過ごさせるようにします。シートの上でちゃんとトイレができたら、もちろんたくさん褒めてあげてください。
ステップ2:
次にケージから外に出る時間を作ります。はじめは行動できる範囲を狭く設定し(畳1~2畳分程度)、そこをサークルで囲い、その中の適当と思う場所にトイレシート6枚程度を敷き詰めておきます。この時、トイレシートだけでは足が滑ってしまうので、滑り止め代わりにシートの下に新聞紙を敷いておくといいでしょう。最初の段階ではその中で遊ばせる時間も短めにします。様子を見て大丈夫そうであれば、徐々に行動できる範囲を広くし、遊ぶ時間も長くしていきます。敷くトイレシートの数は同じく6枚程度です。もし、トイレの場所を迷っている、別な場所でしようとしているような素振りが見られたなら、トイレシートへと誘導してあげてください。どうしてもシートとは違う場所でトイレをしてしまう場合には、シートをその場所に移動するようにします。つまり、人間の都合や思い込みでトイレの場所を決めるのではなく、そのコに合わせてあげるということです。または、違う場所でトイレをしそうになったら、すかさずお尻の下にシートを敷いてあげるというのもいいでしょう。そうすることによって失敗を防ぐと共に、シート自体をトイレだと覚えさせることができます。
ステップ3:
100%トイレシートでトイレができようになったら、囲ってあったサークルを取り払って部屋の中で自由にさせてみます。しかし、過信は禁物です。子犬の行動をちゃんと観察してください。もし失敗するようであれば、前の段階に戻ってトレーニングをし直します。
私の経験上、大型犬より小型犬の方がトイレトレーニングには根気がいるように感じます。更には、チワワは超小型犬ゆえに繊細な面があり、より気配りと根気が必要と言えるでしょう。トイレをマスターするまではマン・ツー・マンの姿勢で臨むのがベストだと思います。
鼻の頭が乾いている時があるのですが、病気でしょうか?
犬の鼻は常時濡れているというわけでもありません。
ウンチに虫のようなものが混じっているのですが…。
それは寄生虫と思われます。寄生虫にはノミやダニのように体の外につく外部寄生虫と、体の中に棲みつく内部寄生虫とがあります。内部寄生虫には回虫や鉤虫、鞭虫、条虫、コクシジウム、ジアルジア、トキソプラズマ、フィラリア、バベシアなどの種類があり、肉眼で確認できるものや顕微鏡でないとわからないものもあります。特に腸内に寄生する回虫や鞭虫のような類は犬では珍しくなく、ウンチに虫や虫卵が出てくることがあります。このような寄生虫が疑われる場合は動物病院で検便をし、駆虫薬を飲ませて処置します。中には土の中で5年以上生存可能であったり、消毒薬にも抵抗力をもつような寄生虫もいたりしますので、放置されているウンチには近寄らせない、万一感染した場合にはトイレ場を消毒すると共に環境を清潔に保つことを心がけください。また、ノミやダニ、蚊などを介した寄生虫もいますので、日頃から予防をしっかり行っていただきたいと思います。
犬の体温はどのように測ったらいいのでしょうか?
測り方としては3つあります。①犬の肛門に体温計を挿入して直腸温を測る、②股の付け根に体温計を挟んで測る、③耳用体温計を使って耳の内側で測る。通常は①の方法が一般的であり、犬の尻尾を上げ、肛門にそっと体温計を挿入します。入れにくい場合はワセリンやオイルなどを塗ると入れやすくなります(近年では先端が柔軟に曲がるようになっているフレキシブルタイプの体温計もあります)。そのまま10秒~3分程度かけて体温を測りますが、メーカーや体温計によって計測時間は違います。②の場合は直腸温より若干低くなるので、測定値に0.5~1度を足した温度を体温とします。③は体温計の先端を耳の内側にあてて計測するタイプで、計測時間が数秒と短く手頃なものの、お値段的にはやや高価となります。ちなみに、犬の平均体温は38.5度前後と言われますが、大型犬に比べて小型犬はやや高めとなり、39度台になることもあります。ただし、40度近いとやや熱がある状態で、41度以上は緊急を要しますので、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
健康チェックが大切だというのはわかるのですが、実際にどのようなことに気をつけたらいいのでしょう?
主なチェック項目としては、元気度や食欲、歩き方、被毛・皮膚の状態、オシッコやウンチの色・回数・量・匂い・状態などがあります。もっと細かく言えば、目、耳、口の中、関節、足の裏(パッド)と爪などもチェックしてください。時々は体温を測り、愛犬の平熱を知っておくのもいいでしょう。子犬時はパピーラキシティと呼ばれる関節の緩みがありますが、この時期にあまり激しい運動をさせると成犬になってから関節のトラブルを起こしやすくなるそうなので、運動量にはお気をつけください。被毛がぱさつく、フケが見られるという場合には栄養の過不足や日光浴不足が関係している場合もありますので、生活環境を見直してみることも必要かもしれません。オシッコに血が混じる、明らかに色が違う、回数や量が少ない、逆に多過ぎる、また、ウンチに血が混じる、緑色や灰白色など明らかに色が違う、異物が混じっている、回数や量が少な過ぎる、逆に多過ぎる、異様な臭いがする、下痢、など異常があった場合には、なるべく早めに動物病院を受診することをお勧めします(オシッコやウンチの異常には、単なる食べ過ぎや水分の摂り過ぎから重大な病気に至るまで様々な原因があります)。なお、子犬で下痢が続いた場合、体力を消耗し、危険な状況に陥るケースもあるため注意が必要です。
実際に、犬を社会化するにはどのようなことをしたらいいのでしょう?
人や他の犬(または動物)、車や電車、音、匂い、
犬の社会化において、何か気をつけるべき点はありますか?
Q2でも述べましたように、なるべく“いい体験”
犬を社会化するには時期や成長段階などが関係するのでしょうか?
はい、関係があります。
「犬の社会化が大切」という言葉を時々耳にしますが、そもそも犬の社会化とはどういうことなのでしょう?
例えば、人間の子供が何の体験もせず、
初めての散歩で気をつけることはありますか?
ここではダッコでの散歩ではなく、本格的な散歩としてお答えします。まず、季節や気温の問題があります。暑い時期の日中や暑い時間帯、逆に真冬の早朝でのお散歩はおやめください。暑い時期の場合、アスファルトからの照り返しは60℃以上になることがあり、人間よりずっと背丈の低いチワワはその照り返しをまともに受けながら高温の中を散歩することになります。当然、熱中症の危険性が高まる上に、パッド(足の裏)を火傷してしまう可能性もあります。散歩に出る時には、手で路面温度を確めるなどしてお出かけください。また、真冬の場合、特に子犬では体温調節がまだ充分にはできませんので、霜や雪の日にはご注意ください。普段の散歩では寄生虫や病気感染予防の観点から、他犬のウンチは極力臭いを嗅がせないこと。知らない犬と出会った時にはいきなり近づけることは避け、距離を置いて自分の愛犬がどのような行動をとるか観察します。怖い思いをさせてトラウマをつくらぬよう、ゆっくり時間をかけて少しずつ慣らすようにしてください。
お散歩デビューはいつ頃できますか?
ダッコして外に出ることも散歩と考えるならば、ワクチンが完了する前でも散歩に出ることは可能です。むしろ、ワクチンが完了するのを待っていると生後4ヶ月くらいになってしまい、犬の社会化にとって最も重要な時期とチャンスを逃してしまうことになります。ダッコをして近所を一周するだけでも人や車、匂いや物音などに少しずつ慣れさせることができますので、子犬の様子を見て問題がなければ、時々外に連れ出してあげるのもいいでしょう。ただし、子犬を迎えた直後は新しい環境にもまだ馴染んでおらず、体調も崩しやすいため、外に出すのは控えてください。それには少なくとも一週間は必要です。また、ダッコで散歩に出る場合、ワクチンはまだ完了していませんから、地面に下ろすのも他犬と接触させるのも避けてください。この時期の子犬にとって一番怖いのは病気感染です。他の犬を触った時にも必ず手を洗ってから子犬を触るようにしてください。
チワワには首輪と胴輪(ハーネス)、どちらがいいのでしょう?
首輪には、「そこで止まって」「それはダメでしょ」というような合図、つまりオーナーの意思を伝えやすいという利点があります。一方、胴輪の場合はそれが伝わりにくい反面、胴全体をコントロールするため首への負担はかかりにくいという利点もあります。どちらを使うかはケース・バイ・ケースであり、新しくオーナーとなられる方にはどちらでもお好みのものをお使いくださいとお話させて頂いてはおりますが、私自身はしつけの観点から考えますので、首輪の方がベストだと思っております。特に、これからしつけが必要な大事な時期にある子犬にとっては、首輪を使用するのがいいでしょう。ただし、首輪が抜けて逃げられてしまうのが心配だ、呼び戻す自信がないというような場合には、胴輪を使うのもいいと思います。どちらにしても、その犬に合ったサイズのものをお選びください。
散歩ができるようになるまで、何か準備しておくことはありますか?
初めて散歩に出る日にいきなり首輪やリードを付けると、慣れていない分、嫌がったり、歩かなくなったりすることがあります。今後の散歩が楽しく、かつスムーズにできるよう、お散歩デビューまでの間、首輪&リードの代わりにリボンや毛糸のようなものを使い、首に何かが付いていても大丈夫なように慣らしておいてください。その際、最初のうちは1分⇒次の日は3分…というように、少しずつ首に巻いている時間を長くしていきます。ただ首に巻いておくのではなく、一緒にオモチャで遊んであげたり、おやつを与えたり、子犬に楽しい思いをさせてあげることが早く慣らす秘訣です。それに慣れたら、リボンを首輪&リードに替えます。ちなみに、首輪のサイズは、首輪と犬の首との間に小指が1本入るくらいが目安です。その他、できる限りいろいろな物音や匂い、感触、人との接触などに慣らしておくことも大切となります。
チワワでも歯磨きが必要ですか? 口が小さ過ぎて思うように磨けません。
3歳以上の成犬の80%は歯周病になっているか、それが心配される状況であると言われています。小型犬は歯と歯の間の隙間も狭くなっているため汚れもたまりやすく、その分、歯周病にもなりやすいそうです。犬も年をとったら歯も傷んでだんだんと抜けていくものだと思ったら大間違い。歯周病を放置してしまうと、毒素が血流に乗って全身へと回り、心臓病や肝臓病など様々なものに悪影響を及ぼしてしまいますので、歯を健康に保つということは全身の健康にもつながります。最初は口の周りや口の中を触っても大丈夫なように慣らしてから、徐々にガーゼや歯ブラシで磨くようにするのがいいと思います。チワワは口が小さいですから、人間の子供(赤ちゃん)用のものか、歯間ブラシで代用できます。口をなかなか開けない場合でも、唇の端からスッと歯ブラシを入れると結構入ります。とりあえず磨けるところだけでも磨いておくのがいいのではないでしょうか。
元気がよ過ぎて高い所も平気でジャンプします。関節や骨が心配になるのですが。
小型犬に多いとされる膝蓋骨脱臼はチワワでも発症することがあります。先天性と後天性のものがあるのですが、重度になると手術が必要になる場合もあります。関節にとってよくないとされるのは滑りやすい床や太り過ぎです。すでに症状が出ている場合には、ジャンプも極力やめさせたほうがいいでしょう。滑りやすい床で生活している犬とそうでない犬、また肥満の犬とそうでない犬とでは、関節系のトラブルの発症率が違うと言いますから、滑りにくい床にするなど生活環境を整えるとともに、肥満にさせないように注意することが大切です。人間から見るとチワワはかなり小食ですので、ついもう一口与えたくなりますが、与え過ぎにはお気をつけください。なお、バランスがとれているフードであれば、敢えてカルシウム剤を足さなくても大丈夫です。
チワワに興味があるのですが、水頭症が気になります。
水頭症はチワワに限らず、ポメラニアンやヨークシャー・テリア、マルチーズ、パグ、ミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードルなど小型犬に発症が見られる他、大型犬でも発症することがあるそうです。先天性と後天性のものがあり、脳室内に脳脊髄液が溜まってしまうことから脳室が広がり、脳の組織を圧迫してしまいます。その結果、元気がない、ふらつくなどの症状が見られ、重症になると歩行障害や痙攣発作、失明などの他、昏睡状態に陥ることもあります。意識レベルの低下により、しつけをしてもなかなか覚えないということがありますので、どうしてもしつけがうまくいかない、かつ活力もないという場合には、一度動物病院で診てもらったほうがいいでしょう。水頭症をもった犬では頭頂部の骨がくっついておらず、穴が開いている(泉門の開存/モレラ)ことが多いということですが、人間と同じように犬も生まれたての頃は泉門が開いており、多くが成長とともに閉じていきます。閉じきらずに泉門が開いたままであっても、それがイコール水頭症になるというわけではありません。何の問題もなく元気に暮らしているチワワはたくさんいます。ただ、泉門が開いたままになっている犬では、頭部に強い刺激を与えるようなことは避けたほうがいいでしょう。
チワワは低血糖症になりやすいと聞いたのですが。
低血糖症は成犬でも起こることがありますが、特に生後3ヶ月齢くらいまでの子犬に起こりやすく、中でもチワワでは発症率が高い傾向にあります。下痢や嘔吐、食事量や回数および内容の不足、気温の低下、遊び過ぎ、ストレスなどが原因となって、血中の糖分濃度が低下することから、ぐったりして元気がなくなる、痙攣や麻痺といった症状が見られるようになります(糖質は脳や筋肉にとって重要なエネルギー源)。手当てが遅れると死に至ることがあるため注意を要します。もし低血糖症らしき様子が見られた時には、応急処置として砂糖水や蜂蜜を口にふくませ、保温と安静を心がけるという方法もありますが、なるべく早めに動物病院で診てもらってください。特に子犬を迎えた直後はついかまいたくなるものです。子犬はまだ疲れの加減がわからずに遊び続けますから、かまい過ぎないように、そしてしっかり休息できる場所や時間を確保できるように配慮してあげてください。
毛色による注意点は何かありますか?
時折、ブルーやイザベラといった毛色の犬で、被毛が折れる・薄くなる・脱毛する、といった症状が見られるケースがあります。これについて数人の獣医師さんにお話をお伺いしてみたところ、メラニンの形成および毛母細胞の異常によって起こるもので、遺伝的素因が考えられるということでした。専門的にはカラーミュータント脱毛症(Color Dilution Alopecia/色素失調性脱毛症/淡色被毛脱毛症)と呼ばれています。これはチワワに限ったものではなく、他の犬種でも見られ、希釈因子が関係する毛色の部分の毛が薄くなったり、抜けたりします。特に頭部や耳に症状が出ることが多いようですが、それ以外にはこれといった症状があるというわけではなく、抜けた毛が再生することもあるそうです。健全性に留意したブリーディングを心がけてはおりますが、レアカラーのような毛色では、どんなに注意をはらっていても、時にリスクを伴うことも無ではないということを充分ご理解の上、毛色をお選び頂けたらと思います。
チワワの毛色にはどんな色がありますか?
チワワの毛色はひじょうにバラエティーに富んでおり、これまではすべての毛色が認められていましたが、イギリスのケネルクラブ(KC)や国際畜犬連盟(FCI)に追随する形で、ジャパンケネルクラブ(JKC)においてもスタンダードの一部改正が行われ、2011年4月より、「マール・カラー以外のすべての色調および組み合わせが認められる」という内容に変更となりました。毛色の呼び方については多種あり、敢えて分けるとするなら「単色系/2色系/3色系」、または「ブラック系/レッド系/フォーン系/ホワイト系/クリーム系/チョコレート系/イザベラ系/ブルー系/パーティカラー系」というふうに分けることもできるかと思います。
チワワの被毛(毛)にはどんな種類がありますか?
被毛の種類としては短毛の「スムースコート」と、長毛の「ロングコート」があります。チワワの基本はスムースコートでしたが、歴史の中でパピヨンやポメラニアンと交配されたことがあり、これによってロングコートが登場したと言われています。チワワの発展に大きく貢献したアメリカにおいては、現在でもスムースコートのほうがより人気が高いようです。