チワワとの生活
初めてチワワと暮らします。部屋の中の環境で注意することはありますか?
寝場所としては、オーナー様の目が届きやすく、かつ、犬が落ち着ける場所で、空気の流れもあり、気温湿度もほどよい場所がよろしいかと思います。たとえば、玄関の近く、部屋の出入り口の近く、人通りや車の通りが見える窓際などは、いろいろな音が聞こえる上に、人の気配にも敏感になる分、犬も落ち着かず、場合によっては無駄吠えにつながることもあります。そうした場所は避けて寝場所をつくるのが理想的です。また、元来、犬は穴居動物ですので、穴倉のような場所を好みます。その習性から、前方のみに出入り口のある、穴倉のイメージに近いような寝場所を1ヶ所でも用意できるとより安心することでしょう。それが難しいようであれば、特に犬を落ち着かせたい時など、ケージの上からバスタオルをかけるといった方法でも代用できます。
部屋の中には危険なものもたくさんあります。人間の幼児同様、犬でも誤飲事故には注意が必要ですが、誤飲については『Q&Aチワワとの生活-私のチワワは結構イタズラ好きで、何でも口に入れてしまいます』をご覧ください(http://wan-to-sweet.com/%E3%83%81%E3%83%AF%E3%83%AF%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B4%BB/)。
その他、イタズラ好きなチワワでは電気のコードを齧って感電しないように、コード類は家具の後ろ側や高いところを這わすようにしたほうがよろしいかと思います。チワワは目が大きく飛び出ているため、床に積み上げた雑誌の角で眼を傷めるというようなこともありますので、部屋の中は整理整頓を心がけましょう。関節のためには滑りにくい床材にする、または滑り止めのマットを敷くことも大切です。
チワワは超小型犬なので、洋服は必要になりますか?
チワワに限らず、昨今では犬に洋服を着せているオーナーさんも多くなりましたね。洋服を着せる必要があるのか、ないのかということよりも、目的に合わせてお考えになるのがよろしいのではないでしょうか。新陳代謝が低下するシニア犬や、夏場の暑さ対策として濡れたシャツを着せる、ドッグカフェや犬OKの宿に行く際に抜け毛を予防するために着せる、皮膚病対策など、理由がある場合は洋服も役に立つでしょう。ただ、本来、被毛には暑さや寒さから体を守る役目もあります。あまり過保護にし過ぎると被毛の伸びを悪くしてしまうこともありますし、洋服を着せることで体温調節や皮膚の機能に影響が出る場合もあるという獣医師もいます。また、生地の素材によっては逆にアレルギーが出てしまうケースもあるようです。先日、海外では、「犬に洋服を着せることを獣医師は基本的には勧めないが、多くのオーナーがそれに耳を傾けず、洋服を着せたがる」というようなニュースがありました。私としましては、常時着せることは避ける、洋服の素材にも気を配るなど、ほどほどにお考えいただくのがよろしいかと思います。
迷子予防のためにチワワでもマイクロチップを装着しておいたほうがいいのでしょうか?
2016年の末のこと、行方不明になってから9年経って戻ってきた犬、そして11年後に戻ってきた猫のニュースを目にしました。どちらも装着されていたマイクロチップによって身元がわかったということです。マイクロチップはこのような時には有効に働くものの、リーダーがないとチップの情報を読み取れない、見た目では装着していることがわからない、情報を登録しておかなければ意味がないといったデメリットもあります。目下、行政ではマイクロチップ装着の義務化に向けて検討が重ねられているということですが、一般の方の意識には温度差があるように感じます。参考までに、行政によって行われたモデル事業の中にマイクロチップに関するアンケート(対象:一般飼い主、動物病院、ペットショップ)がありましたので、興味がおありのようでしたらご覧になってみてはいかがでしょう。(『平成26年度犬及び猫のマイクロチップ等所有明示の推進に関するモデル事業の実施等業務報告書』/環境省) このアンケート結果からも、体内に異物を入れることの抵抗感はやはり強いようです。今後、マイクロチップが義務化となるのか、そうなった場合の対象はすべての犬や猫なのか、販売される個体だけなのか、それはまだわかりませんが、現状ではマイクロチップ装着に関してはオーナー様のお考え次第だと思います。ただ、装着をしないのであれば、代わりに迷子札や鑑札などでご愛犬のチワワの身元がわかるようにしておいてあげることを強くお勧めいたします。
ペット保険の加入を勧められたのですが、必要でしょうか?
オーナー様の経済状況やご愛犬の状況などを考慮の上、お決めくださいとしか申せませんが、小さく可愛いチワワだからこそ気をつけたい病気やケガもあることは確かです。ペット保険のご加入をお考えの場合、主に以下のようなポイントをチェックしてご判断なさるのがいいのではないでしょうか。
① 保険会社の経営規模
ペット保険には、傷害保険会社と少額短期保険会社の2種類がある。後者の方が資本金も補償保険金額も少なく、保険期間は概ね1年。
② 給付率
定率補償型、実額補償型、定額補償型などがある。
③ 請求方法
保険金請求書や領収書、診療明細書などを保険会社に先に送付し、後日給付金が戻ってくるタイプと、動物病院で清算の際に自己負担分だけを支払うタイプとがある。後者は保険会社と提携している病院のみ。
④ 加入条件はどうか?
加入できる年齢、更新できる年齢、掛け金(終身同額や年齢ごとに上がるタイプがある)、健康診断が必要か、必要であれば指定の病院なのか、保険会社が指定する疾患をもっていないか(もっていると加入できない)、など。
⑤ 補償対象を確認
予防ワクチンや歯石取り、針灸、不妊去勢手術などは補償対象外。中には事故が原因の車椅子の費用や、特約で葬儀費用も補償対象となる保険会社もある。
私のチワワは結構イタズラ好きで、何でも口に入れてしまいます。
気をつけていただきたいのは、誤飲事故です。小型犬のチワワは口も体も小さいですから、そうそう大きな物は飲み込めませんが、それでも飲み込んでしまうと危険なものもあります。中毒を起こす危険性があるとされるタマネギや長ネギ類、チョコレート、キシリトール、レーズンなどの食品、スズランやシクラメン、ポインセチアなどの植物の他、洗剤や薬品、焼き鳥の串、ボタン、布、針、毛糸、紐、電池など。オーナー様が飲用している錠剤を食べてしまって死亡する例や、状況によっては摘出手術が必要になる場合もあります。最近、アメリカであった例として、トウモロコシの芯を食べてしまった犬が急激に体調を崩し、手術が必要と言われたものの高額な費用が払えず、オーナー様は一瞬安楽死を考えたという話もありました。誤飲で命を落とすのはなんとも悲しいことです。こと小さいチワワでは、ほんの少量で症状が出てしまうこともあるでしょう。
危険な物を口にしないよう愛犬の生活環境を整えると共に、誤飲は繰り返すことがあると言われることからも、咥えた物を出させるよう「出して」「オフ」といったしつけもしておくといいでしょう。余談ですが、ペット保険のアニコムさんのデータによると、秋~冬にかけて誤飲事故が多いようです。季節との関連性はわかりませんが、くれぐれもお気をつけください。
マンションに住んでいます。集合住宅でチワワと暮らす際に気をつけることはあるでしょうか?
チワワに限らず、集合住宅で犬と暮らすには、一戸建てとはまた違った気配りが必要になる部分もあるでしょう。たとえば、エレベーターや廊下といった共用部分では、サイズにもよりますが極力ダッコする、キャリーに入れるなどして移動をするというのも一つ。エレベーター内の粗相とか毛が残っているというのはクレーム対象になりますから気配りが必要だと思います。また、ベランダやバルコニー、特に1階の部屋についている専用庭というのは一見専有部分と思いがちですが、実は専用使用権が認められた共有部分にあたるのだそうです。ベランダでブラッシングをしたりすると毛が飛び散ってご近所の洗濯物についてしまうこともありますし、床に響く足音や、過剰な吠え声など防音対策も状況によっては必要になる場合もあるのではないでしょうか。さらには、お風呂場でシャンプーをする時、排水管の毛詰まりも注意したほうがいいと思います。
ドッグランやドッグカフェに行きたいと思っていますが、気をつけることはありますか?
ドッグランにしろ、ドッグカフェにしろ、犬好き同士が集まる場所だからしつけやマナーを無視してもいい、好き勝手していいということでは決してありませんので、その点はご理解をお願いします。オーナー様が話に夢中になり、愛犬がトイレをしたのにも気づかない、他の犬が嫌がるのに追い駆けまわしているのにも気づかない、カフェであればテーブルの上に足をかけさせる、人間用の食器で食べ物を与える、店内でトイレをさせる、吠えていてもやめさせない、犬をうろうろさせて他の通行の邪魔になる、店内のルールを確認せず、敷物も敷かずに勝手に椅子に犬を座らせる、などの行為はNGとなります。ドッグランやドッグカフェを楽しむには、やはり最低限のしつけやマナー、周囲への気配りは必要であり、同時に愛犬に対しても気配りが必要です。ドッグランに行ったとしても、他の犬やその環境が怖くてなかなか遊べないということもあるでしょう。そのような様子が見られた時には無理をせず、最初は周囲で様子を見せるだけ、次はリードを付けたままでドッグランに入ってみる…というふうに少しずつ慣らすようにしてください。
車に乗せて、一緒にドライブや旅行に行きたいと思っています。
ドライブや旅行は普段とは違う愛犬の表情が見られる上に、社会化の一環にもなります。ただ、犬は車に酔いやすいために、「酔う⇒車が嫌い」とならないよう、少しずつ慣らしていく必要があるでしょう。初めての時にはエンジンをかけず、ただ車内で遊ぶだけ。次は近所を一周してみるというふうに、少しずつ距離を延ばしていきます。その際、安全のためにもキャリーに入れることをお勧めします。車から降ろす時にもキャリーごと降ろすか、マテをかけてから。車で行く先が動物病院ばかりであると、「車⇒イヤな所に行く」となってしまいますので、近所へのお買い物や少し離れた公園など、行った先で楽しいことがあるようにするのが早く車に慣れさせるポイントです。なお、車内に愛犬を残す場合、気温には充分お気をつけください。JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の車内温度テストでは、外気温が23℃であっても、車内は約50℃に達したそうです。熱中症は夏ばかりではありません。くれぐれもご注意ください。
また大きな地震がありましたが、災害対策として、しておくべきことは?
まずは熊本地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます(2016.4.29現在)。愛犬と一緒にいる時に災害が起きるとも限りませんし、犬もパニックになって外に飛び出し、迷子になるケースも多くあります。災害対策として何より肝心なのは、愛犬の身元を示す迷子札やマイクロチップ、鑑札などを利用することだと思います。マイクロチップに関しては、オーナー様にお渡しする時点で子犬がまだ若齢であること、そしてチワワは超小型犬であることから、体への負担を考え、当犬舎では挿入しておりませんが、「動物の愛護及び管理に関する法律」ではオーナーはペットの身元を明示する責任があるとしていますし、ご自身でお考えの上、ご判断いただければと思います。
また、被災地に居住する方々からは、どうしても人間の物資が優先されるため、ペット用の水やフード、トイレシートが足りないという話が聞かれました。特にそういった物は普段からストックしておくことをお勧めします。その他、いざ避難する時や避難所での生活ではキャリーが有効となりますので、当犬舎でも日常的に使用していますが、普段からキャリーに慣らしておくということは大切でしょう。